サイバーセキュリティクラウド【4493】

日本株

目次

【事業の内容】

当社グループは、「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という経営理念を掲げ、サイバーセキュリティの領域でAIを活用しながら、自社開発プロダクトによるサイバーセキュリティ事業を展開しております。

企業におけるセキュリティ対策は、社内セキュリティとWebセキュリティの2つに分けることができます。社内セキュリティは、マルウェア(※)等からPC端末や社内ネットワークを守りますが、一方でWebセキュリティは、ソフトウエアの脆弱性を狙った攻撃などからWebアプリケーション(※)を守ります。当社はWebセキュリティの領域にて、WAF(Web Application Firewall)(※)を中心とした自社開発プロダクトを提供しています。

また、2020年12月には、脆弱性管理ツール「SIDfm」の開発と、脆弱性診断サービスを提供する株式会社ソフテックを子会社化し、サービスラインナップを強化しております。

当社グループが提供している主なサービスの内容については以下のとおりです。なお、当社グループはサイバーセキュリティ事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

(1)クラウド型WAF「攻撃遮断くん」

クラウド型WAF(※)「攻撃遮断くん」は、Webアプリケーションに対するサイバー攻撃を検知・遮断・可視化する、クラウド型のセキュリティ・サービスです。製品の開発・運用・販売・サポートまで、当社が一貫して提供しています。Webサイトへの多種、大量のサイバー攻撃のデータと運用ノウハウを活用しながら、日々発見される新たなWebアプリケーションの脆弱性に対するセキュリティパッチ(※)をすぐに適用できない状況や、定期的に脆弱性診断が出来ない状況でも、「攻撃遮断くん」によってサイバー攻撃を遮断し、簡単にWebサイトをセキュアな環境に保つことが可能となります。

また「攻撃遮断くん」は、リアルタイムでサイバー攻撃を可視化し、攻撃元IP(※)や攻撃種別などを管理画面で把握することができます。目には見えないサイバー攻撃をヴィジュアル化することで、より適切な状況把握と情報共有が可能になります。

「攻撃遮断くん」は、サーバにエージェント(※)をインストールし、クラウドの監視センター(※)へログ送信・遮断命令を受けて攻撃を検知・遮断するサーバセキュリティタイプと、DNS(※)を切り替えて攻撃遮断くんWAFセンター(※)で攻撃を検知・遮断するWEB/DDoS(※)セキュリティタイプの2タイプを提供しており、これらにより、お客様のWebアプリケーションの環境に捉われずに導入可能です。

「攻撃遮断くん」では、AI(※)を活用することで、従来のシグネチャでは発見することができなかった攻撃や、顧客のサービスに影響がある誤検知を発見しております。当社では、一般的な攻撃情報だけでなく、ユーザーの正規のアクセス、攻撃として検知されたアクセスをニューラルネットワーク(※)に学習させることで、日々のアクセスデータや検知データを AI で評価することにより、シグネチャ精度向上に取り組んでおります。

「攻撃遮断くん」は、顧客に対し提供するサービスの対価を、使用した期間に応じて受領するサブスクリプション(月額課金)型モデルとなっており、継続したサービス提供を前提としております。エンジニアとサポートが一丸となって、Webアプリケーションの脆弱性の情報収集及び迅速な脆弱性への対応、シグネチャ(※)の設定、カスタマイズ等、顧客価値向上を実現することで、解約率を低水準に維持しております。

(2)パブリッククラウドの提供するWAFのルール自動運用サービス「WafCharm」

「WafCharm」は、クラウドサービス市場において大きなシェアを有するAmazon Web Services(AWS)(※)、Microsoft Azure(※)、Google Cloud(※)の3つのクラウドプラットフォームにてサービスを提供しており、 WAFを“AI”と“ビックデータ”によって自動運用することが可能なサービスとなっております。

パブリッククラウド(※)の提供するWAFを導入することによって、Webアプリケーションのセキュリティを高めることができますが、お客様自身でWebサイトに合わせた最適なルールを設定する敷居は高く、多くの知識と時間が必要となります。そこで、「WafCharm」を利用することにより、WAFのルール初期セットアップからルール運用までを「WafCharm」で自動化することができます。新たな脆弱性への対応も自動でアップデートされるため、セキュアな状態でWebサイトの運用が可能となります。Webセキュリティ対策にかける時間と人的リソースを最小化でき、お客様は本業にリソースを集中させ・ビジネスの成長に専念して頂けるようになります。

「WafCharm」は、顧客に対し提供するサービスの対価を、使用した期間に応じて受領するサブスクリプション(月額課金)型モデルに加え、従量課金型モデルが組み合わさった料金形態となっており、継続したサービス提供を前提としております。

(3)AWS WAF Managed Rules

AWS WAF(※) Managed Rules(※)とは、セキュリティ専門のベンダーが独自に作成する、厳選されたAWS WAFのセキュリティルールセットです。

2019年2月末時点で世界で7社目(注)となるAWS WAFマネージドルールセラーに認定された当社の米国子会社を通じ、AWS Marketplace(※)でのManaged Rulesの提供が開始されました。当社が「攻撃遮断くん」及び「WafCharm」で培ったAWS WAFにおけるルール設定ノウハウをもとにルールをパッケージ化することで、AWS WAFを利用するお客様は、AWS Marketplaceから簡単にManaged Rulesを利用することができます。

(注)AWS MarketplaceでManaged Rulesを販売している会社数から算定。

(4)脆弱性管理ツール「SIDfm」

株式会社ソフテックの「SIDfm」は、サービスを開始して以来、20 年以上に渡り数多くのお客様の脆弱性管理基盤の情報ベースとして活用されており、脆弱性専門アナリストが、日々現れる脆弱性の内容を調査しコンテンツを作成し、様々な手段を用いてお客様に情報を送り届けております。また、お客様が判断に悩む脆弱性の影響調査においても、「SIDfm」 コンテンツを見ることにより、的確な判断を行うことができるだけでなく、脆弱性情報は個々の IT 資産の脆弱性の状態を管理するためのマッチングにも利用されています。このように、脆弱性に係るコンテンツの作成から脆弱性の管理ツールの提供までの、包括的なソリューションを提供しています。

(5)脆弱性診断サービス

株式会社ソフテックでは、脆弱性診断サービスとして、Webアプリケーション脆弱性診断、プラットフォーム診断、サーバー構成診断を提供しております。ソフテックでは、「SIDfm」 提供の基礎となる脆弱性の研究を行い、脆弱性に精通した知見と技術を生かした、セッション管理脆弱性専用診断ツール「WebProbe」や、Webアプリケーション診断エンジン「WAVI」等の診断ツールの開発を行ってきました。これらのツールを活用した広範囲な診断と長年の診断経験をもつシニアセキュリティエンジニアによる深く高度な手動診断を組み合わせたハイブリッド診断を提供しています。

※用語集

(五十音順に記載)

用語用語の定義
エージェントお客様Webサーバにインストールする攻撃遮断くんのソフトウェア。お客様Webサーバ内のログを収集し監視センターにログを送信する。また監視センターからの遮断命令を受け不正な通信を遮断する。
監視センターお客様Webサーバのアクセスログを監視し、異常通信を検知して遮断するセンターシステム。
クラウド型WAFサーバ購入などインフラの調達や整備は不要で、月額・年額のサービス利用料を支払うことでWAFを利用することが可能。WebサーバのDNS設定を変更するだけで導入ができる。ベンダーが提供するWAF専用サーバをWebサーバの直前に設置、または企業が購入したハードウェアへWAFをインストールすることで導入可能なアプライアンス型に比べて、ネットワークの構成の変更や運用の手間が不要。
攻撃遮断くんWAFセンターお客様Webサーバの前段にWeb通信監視システムを配備し、そこで異常通信を検知して遮断するセンターシステム。
シグネチャマルウェアや不正アクセスといった攻撃の「特徴的なパターン」を意味する。またこのパターンを集約したファイルを「シグネチャ ファイル」、シグネチャを利用して攻撃を検知、防御する機能を「シグネチャ機能」と呼ぶ。
セキュリティパッチプログラムに脆弱性やセキュリティホールなどが発見された際に、それらの問題を修正するためのプログラム。
ニューラルネットワーク生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣することで、脳機能に見られる特性を計算機上のシミュレーションによって表現することができる数学モデル。
パブリッククラウド企業や個人などの不特定多数のユーザに対し、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェアなどのクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスのこと。利用ユーザーは、従来のようにサーバーや通信回線などを調達・所有する必要がなくなり、必要なときに必要な量のクラウド環境を、素早く利用することが可能となる。
マルウェアコンピューター・ウイルス、スパイウェアなど、悪意のある目的を持ったソフトウエアやプログラム。
AIArtificial intelligenceの略語。日本では「人工知能」として知られている。従来から概念として広く知られた言葉だが、ロボティクス同様、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めている。
AWS(Amazon Web Services)Amazon Web Services, Inc.が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称。
AWS MarketplaceAWS上で実行されるソフトウエアやサービスを見つけて購入し、すぐに使用を開始することができるオンラインソフトウエアストア。
AWS WAFAmazon Web Services Web Application Firewallの略語。AWS上で、お客様のWebアプリケーションを、アプリケーションの可用性、セキュリティの侵害、リソースの過剰な消費などに影響を与えかねない一般的なWebの弱点から保護するWebアプリケーションファイアウォール。AWS WAFを使用すると、カスタマイズ可能なWebセキュリティルールを指定することによって、どのトラフィックをWebアプリケーションに許可またはブロックするかを制御できる。
DDoSDistributed Denial of Serviceの略語。複数のマシンから大量の接続要求等を行い過剰な処理負荷を与えることでサービスを機能停止状態へ追い込むサイバー攻撃の一種。
DNSDomain Name Systemの略語。インターネット上におけるホスト名(FQDN)やドメイン名に対応するIPアドレス情報を管理・運用するシステム。
Google CloudGoogle Cloud ユーザ向けに提供されているWAFサービスのこと。
IPパケット交換の仕組みを用いてコンピューターやネットワークを相互接続する通信プロトコルのこと。なお、プロトコルとは、複数の主体が滞りなく信号やデータ、情報を相互に伝送できるよう、あらかじめ決められた約束事や手順の集合のことを意味する。
Managed RulesAWS Marketplaceセラーが作成して管理している厳選されたルールセットで、AWS Application Load BalancerやAmazon CloudFrontで実行しているWebアプリケーションの前面に簡単にデプロイ可能。これらのManaged Rulesを使用すると、WebアプリケーションやAPIの保護を迅速に開始できる。
Microsoft AzureMicrosoftが提供するパブリッククラウドプラットフォーム。コンピューティングからデータ保存、アプリケーションなどのリソースを、必要な時に必要な量だけ従量課金で利用することが可能。
WAF(Web Application Firewall)ファイアウォールの一種で、Webアプリケーションの脆弱性を悪用した攻撃から、WebサーバやWebサイトを保護するセキュリティ対策。エンドユーザーとWebサーバ間の通信を監視し、シグネチャ(不正な値・通信パターンを定義するルール)に一致した通信を攻撃と判断しブロックする。インフラ及びネットワークを保護するFirewallとは異なり、WAFはWebアプリケーション及びソフトウエアやOSを保護する。
Webアプリケーションブラウザから利用可能なアプリケーション・サービスのことを指す。クライアント側のブラウザとサーバ側のアプリケーションサーバなどのプログラムが、互いに通信をおこなうことでサービスを実現する。

業績の概況

小池敏弘氏(以下、小池):本日はお忙しい中、当社の2021年12月期通期決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長兼CEOの小池敏弘でございます。

はじめに、2021年12月期通期の決算概要および2022年12月期の業績予想と、それを支える成長戦略についてご説明します。その後、質疑応答に移ります。

まず、2021年12月期通期の決算概要です。スライドに記載のとおりですが、売上高は18億1,700万円、売上総利益は12億8,100万円、営業利益は2億9,700万円、経常利益は2億9,700万円となりました。最終的な当期純利益は1億6,900万円で着地しています。

売上・利益ともに、前年同期比で大幅に成長できた1年だったと考えています。なお、昨年末に公表したとおり、本年中の本社移転を予定しているため、それに伴い2,900万円の特別損失を計上しています。そのため、最終的な当期純利益のみ予想を下回っていますが、本業としてはしっかり伸ばせた1年だったと考えています。

ARRの推移

ARRについてです。毎月の経常収益は18億円を超えており、前年同期比39パーセント増と非常に力強い結果だったと考えています。さらに、2021年12月の単月の受注額も過去最高を記録しています。そのため、第1四半期以降もさらなるARRの増加を見込んでいます。

ユーザー数の推移

ユーザー数も順調に推移し、4,000ユーザーを突破しました。引き続き、こちらも増やしていきたいと考えています。

攻撃遮断くんとWafCharmの低い解約率

解約率についてです。メインのプロダクトとして「攻撃遮断くん」「WafCharm」を展開していますが、いずれの解約率も非常に低い水準で推移しています。

当社のプロダクトの特徴として、何か不満があって解約することは基本的にないと考えています。スライドに記載のとおり、サイト自体の閉鎖や、販売パートナーとエンドユーザー間の契約終了による解約がほとんどです。プロダクトに起因する解約がない状態を今後も続けていくことが非常に重要だと考えています。

売上高の推移

四半期ごとの売上高については、順調に積み上がっています。直近の第4四半期の売上高は4.9億円でした。スライドのグラフにあるとおり、全体の売上に占めるストック収益比率は90パーセント以上で推移しており、今後につながる安定した収益基盤を作ることができていると捉えています。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用についてです。昨年の四半期ごとの決算説明でもお伝えしていますが、第4四半期に採用やセミナー開催などの投資を行った結果、全体的なコストが増加しています。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員はこの1年で20名ほど増員しました。前期にセールスマーケティング部隊を強化したことで、今期以降も戦える人員を揃えることができたと考えています。一方、2022年はエンジニアの採用に注力しつつ、外部リソースも効率的に活用して、全体的な開発力の強化に取り組んでいきたいと考えています。

参考情報 各プロダクト主要KPI

参考情報として、それぞれのプロダクトのARR、利用企業数、解約率を記載しています。「ManagedRules」と「SIDfm」の解約率は記載していませんが、ARRとユーザー数は記載しています。ホームページに公開している資料もあわせてご覧いただければと思います。

WafCharmが世界3大プラットフォームに対応

第4四半期および通期のトピックスについてです。まず、「WafCharm」が世界3大プラットフォームに対応しました。

さまざまなシステムを作るためのクラウドプラットフォームである「AWS」「Google Cloud」「Microsoft Azure」は世界3大プラットフォームと呼ばれ、3社あわせて世界で約60パーセントのシェアを持っています。ここで作ったシステムを攻撃から守るセキュリティとして使うのが当社の「WafCharm」です。もともとは「AWS」のみに対応して販売開始しましたが、一昨年、昨年と「Microsoft Azure」「Google Cloud」にも順次対応していきました。

全世界でこれらのクラウドプラットフォームが使われていますが、Webサイトの開発者がプラットフォーム上でサービスを作る際に、セキュリティ対策として当社のサービスを使ってもらうための準備ができたと考えています。後ほどもお話ししますが、今後の当社のグローバル展開を見据えた意味のあるラインナップを揃えることができました。

危険な脆弱性にも即日対応~3秒に1回の攻撃を遮断~

昨年12月に一般のニュースでも報道されましたが、Webサイトを作る際に多くの人が使っている「Apache Log4j」というシステムの脆弱性が公表されました。これにより、公表日から10日で約31万件、約3秒に1回の頻度で世界中のハッカーからの攻撃を観測しました。

業界ではかなり話題になった事件でしたが、当社では公表されてから即日対応を開始しました。スライド左側の図をご覧ください。脆弱性が公表されたら、まずはそれがどれほど危険なものなのかを見極め、対応方法を決定し、迅速に対応するというプロセスを踏んでいます。この結果、当社のプロダクトを使っていただいている多くのお客さまを攻撃から守ることができています。

今回は事なきを得ましたが、このようなことは常日頃から起きています。引き続き、当社のセキュリティチームの意識を高め、リソースも確保しながら、信頼性の高いプロダクトを提供し続けていきたいと考えています。

組織体制を大幅に強化~2025年に向けた体制を構築~

昨年は組織体制を大幅に強化しました。後ほどご説明しますが、2025年へ向けた成長戦略を確実に達成していくために、2021年は主に営業部隊を強化しました。

スライドの図に記載のとおり、従来は単一の営業部しかありませんでした。この1年で、顧客を呼び込むマーケティング、電話でフォローするインサイドセールス、商談する営業、営業戦略を立て動かしていく企画と、部隊を細分化してきました。今年はこの体制が大きく開花する1年になると考えています。

また、従来の主な施策はSEOやバナーなどのWeb広告が中心でしたが、昨年の人員強化により自社でセミナーを主催し、外部のメディアにコンテンツを提供できるようになりました。今年は新たなCMの開始や、業界の垣根を越えて一緒に取り組んでいくセキュリティ連盟の発足、販売パートナーの支援などを行いたいと思います。

「WafCharm AWS版」製品版を米国で提供開始

先ほど、3大プラットフォームへの対応をお伝えしましたが、当初から提供してきた「WafCharm AWS版」について、昨年からアメリカでβ版、有料版を順次展開してまいりました。アメリカ法人を立ち上げるところから始まり、β版をもとにいろいろなお客さまに我々のプロダクトがフィットしているかどうかを調査しながら、改良を重ねることで初期ユーザーを獲得し、今年から本格的な営業活動を始めています。想定してはいましたが、しっかりと結果が出始めていると感じています。

スライド下部に記載のとおり、複数のユーザーから「まさにこのようなプロダクトが欲しかった」というお声を直接いただいています。簡単な道ではありませんが、我々が行っていることは間違っていないと私自身も確信していますし、今後の需要にも大きく期待できると考えています。

2025年に向けた成長戦略

2022年の業績予想の前に、まずは成長戦略について簡単に触れたいと考えています。これは、昨年公表した資料と同じものです。

当社は2025年に向けて、日本発のグローバルセキュリティメーカーとして世界中で信頼されるサービスを提供するということをスローガンに掲げ、事業運営しています。具体的に言いますと、まずは国内導入社数1万社を実現し、名実ともに国内トップのWebセキュリティ事業者という地位を盤石にしたいと考えています。

また、財務目標として、売上高50億円、営業利益10億円をしっかりと作っていくことも目指しています。海外売上比率も10パーセントまで引き上げ、その後のさらなるグローバル展開の足掛かりにします。

財務目標① 売上高50億円の達成

スライド右に記載のとおり、財務目標を実現するための主な施策を3つ掲げています。1つ目の重点施策は、パートナー支援強化です。日本においてパートナー支援を強化するということで、営業部隊が直販で売るのみではなく、今も数多くご支援いただいている販売パートナーに、さらに数多く売っていただけるよう、メーカーとして支援していきます。そして、国内の売上をまだまだ大きく伸ばしていきます。

2つ目の重要施策は、「WafCharm」のグローバル展開です。「WafCharm」は2つ目の主力商品ですが、日米を合わせて「攻撃遮断くん」と同じくらいの規模感まで持っていくことを掲げています。

日本も含めてですが、グローバルというのは世界中で売っていくということです。しっかりとクラウドパートナーとの関係性を作っていきます。つまり、先ほどお伝えした「AWS」「Google Cloud」「Microsoft Azure」などのクラウドプラットフォームを提供しているみなさまの中で、当社の知名度や有用性をしっかりアピールしていくことを考えています。

3つ目の重要施策は、サービスラインナップの増強です。売上高をさらに伸ばしてサービスラインナップを増強し、クロスセルのサービスを作っていきます。

その結果、2025年には売上高50パーセント、年平均成長率30パーセントを目安に成長していきます。営業利益に関しても、今期は2.97億円で着地していますが、10億円まで持っていきたいと考えています。

あくまでも2025年というのは終わりではなく通過点に過ぎないと考えていますので、当然、10億円はクリアしていきながら、さらにその先で、大きな数字を出せるように取り組んでいきます。

重点施策① パートナー支援の強化

ここからは重点施策について少しお話しします。「パートナー支援の強化」ということで、当社の販売代理店に対して、さらに売っていただけるように支援を強化します。

先ほどもお伝えしたとおり、今年は専任の組織も作りました。新規パートナーも増やし、既存のパートナーには、より売っていただけるような支援を講じていくかたちで進めていきます。

重点施策② WafCharmのグローバル展開

「WafCharm」のグローバル展開ですが、パートナーランクの向上を目指します。例えば、「AWS」には多くのクラウドパートナーがおり、当社もそのパートナーの1つです。「AWS」のコミュニティにおけるパートナーのランクが上がると、セミナーやイベントを一緒に行ったり、場合によっては、当社の代わりにプロダクトを売ってもらえるなどのメリットが出てきます。

グローバル展開において、広告を少しずつ打ち、一人ひとり営業するというスピード感では間に合わないと考えており、パートナーのコミュニティの中で存在感を上げていくことが大切です。こちらを当社の成長の最重要施策と位置付け、取り組んでいきます。

重点施策③ サービスラインナップの増強

「サービスラインナップの増強」ですが、「攻撃遮断くん」「WafCharm」などのしっかりと収益化できているプロダクトに加え、一昨年買収したソフテックが持つ「SIDfm」の提供価値を最大化させます。

「SIDfm」は、さまざまなプログラムやシステムの脆弱性情報を企業に配信しています。「こんな脆弱性が出て、このくらい危ないので、すぐに対応したほうがいい」という情報を配信し、企業で管理できるプロダクトです。

しっかりと当社が持つ事業開発力を活かし、さらに売上を拡大させていこうと考えています。また、今期は新サービスも年内に発表していく予定ですが、継続的に新しいサービスの投入も考えています。

2022年12月期 業績の見通し

2022年12月期の通期業績予想と戦略についてお話しします。まずは業績の見通しです。今期の売上高は23億円、営業利益は3.9億円、経常利益は3.87億円、最終的な当期純利益は2.59億円というかたちで発表しました。

2025年に向けた財務目標は売上高50億円、営業利益10億円を確実に可能な限り早期に達成していくことを戦略としています。今年はその1年目にあたり、重点施策を着実に実行していきます。

もちろん、プロダクトが未熟な部分もあるため、開発力をより強化していきます。また、お客さまを増やすためのマーケティング投資も継続して行いますが、結果として増収増益を見込めているため、引き続きご支援いただければと思っています。

新CMを活用したプロモーション

今期の具体的な施策の1つとして、新CMを活用したプロモーション展開を考えています。2月2日に、俳優の三浦翔平さんをイメージキャラクターとした新CMの発表、記者会見を実施しました。Web・TV・タクシーなどにさまざまな露出を図り、認知度を向上していきます。

日本全国の大企業から中小企業を見ると、サイバーセキュリティに対する意識や重要性は伝え切れていない部分があると思います。そのため、まずは認知度を上げて、日本企業においてサイバーセキュリティの意識を向上していただけることを考えています。

産官学連携のセキュリティ啓発団体による意識向上

当社は営利企業としてセキュリティの啓発活動を行っていますが、今年、当社が発起人となり、産官学連携でセキュリティの重要性を啓発する「セキュリティ連盟」を立ち上げました。

2月2日に発足イベントを実施しましたが、啓発アクション「日本のDXをもっと安全に」へ賛同していただいた企業は120社を超え、現在も日に日に増えています。

スライドに賛同企業のロゴを記載していますが、非常に多くの企業から「DX、IT化を進めて売上を上げるのもよいが、それと同時にしっかりセキュリティも考えていかなければいけない」という考え方に賛同いただいているところです。

また特徴として、スライド右側にも記載がありますが、中央省庁や大学、専門機関の方にも非常に賛同していただいています。当日は内閣官房、経済産業省、総務省の方もそれぞれご登壇いただき、この取り組みに非常に期待しているというメッセージをいただいています。明治大学の教授や、実際にサイバー攻撃に遭い被害を受けた企業にもご登壇いただきました。

なかなか表に出てこないサイバー攻撃の実態について、「受けたらどう対応するんだ」「どれくらい被害が尾を引くのか」「どうやって復旧するのか」など、しっかりと実体験を含めて企業間でシェアすることで、各企業のサイバーセキュリティの意識を高めてもらいたいと考えています。

これは、当社のみが主導して行うものではありません。当社以外にも35社のセキュリティ関連企業が加盟していますし、さらに増えています。産官学連携によりみんなでサイバー被害を防ぎたいと考えていますので、ぜひ今後の動きにもご期待いただければと思います。

USマーケット開拓に向けた着実な土台づくり

グローバル戦略にひも付きますが、成長戦略の重点施策「パートナーランクを上げていく」についてお話しします。「WafCharm」を提供していた「AWS」のパートナーランクですが、年月をかけて上げていき、先日、上位2番目まで向上しました。さらに、スライドに「上半期中」と記載してありますが、非常に近いタイミングで最上位パートナーへのランク到達を予定しており、着実に進んでいます。

ここまで来ると、「AWS」からご紹介があったり、コミュニティの中では「君たちは一番上のパートナーなんだね」と信頼を得ています。日本はもちろんのこと、グローバルにおいて、当社の事業を展開していく上で非常に重要なポジションとなっています。

昨年、成長戦略を決めた時から「しっかりやっていくぞ」ということで、一丸となって取り組んでおり順調に進捗しています。今期はさらに伸ばして、業績にも貢献していけるようにしたいと考えています。

以上が、2021年12月期の決算概要ならびに今期業績予想と戦略です。

質疑応答:同業他社との技術力の差について

質問1:「日本初のグローバル企業として自社と世界の同業有力メーカーとの技術力の差をどのように評価していますか?」というご質問です。

小池:まず、その技術力の差、技術力をどのように比較するかというところで、観点はいくつかありますが、1つは、先ほどお伝えした「Apache Log4j」の脆弱性というお話です。

このように誰もが脅威に晒されるような脆弱性が発生してしまった時の対応というのは、技術力が表れるところだと考えています。もちろん日頃から守っているということも技術力ですが、そのような意味では当社は非常に早く対応しています。

日本と海外のあらゆるメーカーと比較して、実際のところ、当社の対応スピードは速かったとなっていましたし、お客さまからも「すごいね」と、「ちゃんと守ってくれて、ありがとう」というお話を、非常に大きな企業も含めて評価いただいています。そのような意味では、この分野において我々が劣っているということはまったくないと考えています。

また、当社が提供しているプロダクトには「AWS WAF Managed Rules」というものがあります。これは「AWS」が設置をしているMarketplace上で、「AWS」を使っているユーザーが自由に第3者(サードパーティ)のシステムや、サービスを購入できるものですが、ここに我々のセキュリティ防御ルールが詰まった「AWS WAF Managed Rules」を販売しています。

我々の他に、世界の同業有力メーカーでも販売していますが、そこと肩を並べて我々もグローバルで販売しており、順調にユーザー数が伸びています。

世界70ヶ国以上で使われており、誰もが知っているような金融機関や政府系の組織などにご利用いただいています。高い評価をいただいているという意味では、この分野において技術力の差はなく、今後も自信を持ってグローバルに製品を発信していきたいと考えています。

質疑応答:2022年の業績予想について

質問2:「今期の売上高・営業利益の計画については、どのように考えているのか」というご質問です。

小池:まず、売上高については先ほどもお伝えしましたが、しっかりと成長率を維持していきながら事業展開していきたいと考えています。

国内事業に関しては、しっかりと営業組織を作っていきました。ここは直販部隊としてしっかり売上を伸ばしていきますが、販売パートナーからの売上を強化していくために、組織を細分化して役割をつけた営業担当たちがパートナーを支援していくことにより売上を上げていきたいと考えています。

そして海外事業に関しては、ようやく有料でご利用いただけるユーザーが出始めていますし、「AWS」をはじめとしたクラウドプラットフォームと関係性を構築し、我々のランクをしっかり上げていくことができています。

今期からの売上という意味では、大きく貢献するのは先になるかもしれませんが、ARR(経常収益)、新規受注が増えればARRも増えていきますので、ここはしっかりと作っていきたいと考えています。

また、営業利益はどのように考えているのかということについては、繰り返しになりますが、販売パートナーの支援をすることです。

そしてこれは、お金を使うということよりも、メーカーである我々がしっかりとコミュニケーションを取りながら営業支援をしていくことが重要になります。これが何よりも大事だと思っています。

一昨年買収したソフテックの持つ「SIDfm」は、今度4月に吸収合併してサイバーセキュリティクラウドとして「SIDfm」を販売していきます。代理店の展開と併せて広げていくために、人員を固めた営業部隊によって販売パートナーに売りやすい体制を作っていくことを考えています。

また、グローバルにおいても、むやみに広告を打っていくということではなく、しっかりとクラウドパートナーとの関係性を作っていくことが今年は大事だと考えています。

今期テーマとして、2025年の成長戦略を達成するために力強く経営はしていきますが、身の丈を越えた過剰な投資を行うのではなく、しっかりと現在の体制でマーケティングから受注に繋げ、24時間365日サポートを行っていきます。これらをしっかりとやり遂げていくことを考えていますので、その結果として営業利益もしっかり出していけるのではないかと考えています。

質疑応答:2022年の売上高計画について

質問3:「売上高23億円はチャレンジングな目標なのか、保守的な目標なのか?」というご質問です。

小池:あくまでも今期の売上・利益に関しては、2025年の成長戦略の達成に向けた通過点だと考えています。

先ほどもご質問いただきましたが、競合もいますし、いろいろセキュリティの情勢、考え方も変わっていきますので、決して簡単な目標ではないと思っていますが、何よりも2025年に向けてしっかりと結果を残すと決めていますので、そこへの通過点として、ここは確実に達成していきたいと思います。

質疑応答:2022年の人員計画について

質問4:「来期は何名程度人員を増加するのか?」というご質問です。

小池:昨年は、退職も若干ありましたが、結果としては約20名の純増で着地しています。そして今期に関しては、やはりしっかりと開発力を強化していくことが大事だと思います。

もう少し具体的にお伝えすると、営業担当やサポートが、しっかりとお客さまに伴走しながらセキュリティの不安をなくしていくことが重要です。

これからグローバルで展開するにあたって、プロダクトの中でお客さま自身で設定したり、いろいろな不安を解消していくことは、グローバル展開する上で非常に重要になってくるかと思います。そのような部分の開発、機能追加等も含めて行っていきたいと思っていますので、エンジニアの採用を中心に行いたいと思います。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、当社も含めてエンジニアの採用は激化しています。おそらく今年も引き続き厳しい採用環境になるだろうと想定しています。当社においても余裕で人が増えるということは考えておらず、確実に人は採用していきたいと考えている一方で、開発力、開発のスピードを緩めることはしたくないと考えています。

仮に採用できなかったとしても、外部パートナー等のご支援もしっかりといただいて強化していくことを考えています。「具体的に何名増やす」という回答は差し控えさせていただきますが、オフィスも移転することとなっていますし、人員は強化をしていきたいと考えています。Occurred on 2022-02-15, Published at 2022-02-17 18:00

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株式会社サイバーセキュリティクラウド

     

ファースト&スローと自省録が愛読書です

特にプロスペクト理論・ストア派の哲学に興味があります

     

 
1983年(昭和58年)地方銀行入行

1984年(昭和59年)同行退職

1985年(昭和60年)公務員

2016年(平成28年)退職

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